Q&A(2021年度第5回)

こちらは、オンライン授業のためのFDセミナー2021第5回にいただいた質問に対して、補足説明としてまとめたものです。

講師を務めていただいた 星槎大学大学院 教授 阿部 利彦先生 からの回答です。
※セミナー内で回答いただいたものに加え、アンケートに寄せていただいたものも含めます。

【Q1】スライド上の視覚提示を実現するための工夫について、【】・囲み文字・蛍光マーカー・下線・色文字など、様々な種類があることを例示いただき参考になりました。種類を増やすと管理するのに労力が要りますが、統一するための工夫などありましたら教えていただけますでしょうか

キーワードとなるところはなるべく同じ形で、つまり同じ色・同じ自体・同じ見せ方等で視覚提示することを心掛けています。ひとつの授業を通して一貫して統一するのは、全部で15コマあることを踏まえるとなかなか難しいですが、できるだけシンプルなルールにして、できる範囲で工夫しています。

【Q2】学生にとって興味がわく工夫は、言うほど容易なことではありません。学生が何に興味を持っているか知る工夫を阿部先生はどのようにされておられるでしょうか

おっしゃるとおり、学生が何に興味を持っているかを探るのは簡単ではありません。授業の中で急に学生に話を持ち掛けてもなかなかすぐに意見したり議論したりするのは難しいので、私の授業では、Googleクラスルームなどを用いて、次回の授業で取り扱うテーマや内容などを事前に伝えるようにしています。「次の授業では***を取り上げます」「来週までに考えておいてください」などとあらかじめアナウンスしておくことで、日常生活の中で身近な例を見つけることができたりと、授業の準備ができるようです。また、学生自身の発表を聞くことやミニレポートに目を通すことなども大切にしています。発表やミニレポートには、学生の興味・関心が含まれることも多いので、それらを見つけた場合には、講義の中で「●●●を例にしてみると」と取り上げてみるなど工夫しています。

【Q3】対面授業でリアクションペーパーに書かれた感想や質問を、次の授業の冒頭でフィードバックしています。すると、その日のリアクションペーパーに、本論に入るまでが長いとの批判が書かれてしまいます。どのように捉え考えていけばよいでしょうか

そういった批判を行う学生もいるかもしれませんが、実際に感想や質問を取り上げられた学生側の意欲は上がりますので、フィードバックの目的がきちんとある場合は続けていただいてよろしいのではないでしょうか。私自身も、一方的な授業とならないようそのようなフィードバックを行っています。一方で、時々、感想や質問を寄せた当人が自分の感想や質問であることを忘れてしまっている場合もあり、期待したほど彼らに響かなかったと反省するケースもあります。また、序論(フィードバック)と本論がうまく関連づけられない学生も中にはいますので、「なぜこの話をしているか」「これから続く授業内容にどうつながるか」など関連性を見える化し、きちんと目的を説明するのも有効かと思います。

【Q3】大人数(300人程度)の授業では、ユニバーサルデザインの視点から何が最も重要とお考えですか
【Q4】大人数の授業では、きめの細かい学生対応が難しくなることも多いのですが、その場合はどういった点に最も配慮すべきかご教示いただけないでしょうか

大人数での授業では、学生の集中力が落ちやすいので、30分ずつ導入、展開、まとめ、というイメージで授業設計をしています。それぞれの30分に山場を設定し、そこに焦点化できるよう意識した授業展開です。読む、書く、聞く、話すという活動を取り入れて、学生がなるべく参加しやすい課題を設定するように工夫しています。とはいえ、最初から疲れているような学生もいますので、限界はあると思います。

【Q6】学習意欲の低い学生、単位を取得するために最小限のことをすればいいと考えている学生に対して、より授業に関心を持ってもらう工夫などあれば教えてください

学習意欲の低い学生や「単位を取得するために最小限のことをすればいい」と考えている学生にばかり意識が向くと、意欲の高い学生が物足りないと感じる場合もあるので、それももったいない話ですよね。まずは、一生懸命聞いている学生に目を向ける。でも、他にもうなずいたり、メモをとったり(対面ですが)何らかのアクションを起こしたら、それについて「今、メモをとっている方は、ここも追加でメモすると試験などの時に助かると思います」と伝えるようにしています。
後は学習意欲はあるけれども、どう学んだらいいかがわからない学生や先生の配慮を自ら必要としている学生であれば、その学生さんに合わせて工夫できる点を考えていきたいと思います。

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